叙事詩やプラーナ文献によれば・・・
ガンガー(ガンジス)は、
ヴィシュヌ神の足の指先から流れ出て天界の諸国を流る河であったが、
聖なる王バギーラタによって地上を流れるようになった。
その昔、アヨーディヤーにサガラという王がおり、
馬祀祭(アシュヴァメーダー)を執り行おうとして犠牲の馬を
妻・スマティとの間に生まれた『6万人の子供達』に守らせていたが、
彼らが油断をしていたスキにその馬が下界へ連れ去られてしまった。
(馬祀祭では馬を一年間自由に歩き回らせ、馬の後を人々が護衛について歩く)
直ちに連れ去られた馬を探しだすようにと、父親に命じられた子供たちは、
大地に亀裂があるのを見つけた。
早速、力を合わせて深い穴を掘り、下界をのぞいてみたところ・・・
そこで草を食んでいる馬とその傍で修行をしているカピラ聖仙の姿が見えた。
カピラ聖仙を馬泥棒だと思った彼らは、武器を手に取ってカピラ聖仙に打ちかかった。
修行を妨げられたカピラ聖仙は、激しく腹をたて、
眼を見開いて光熱(テージャス)を発して、6万人の子供達を焼き殺してしまった。

6万の子供たちの遺灰は、地中深くに埋もれたままだったので、
彼らの霊魂も地下に閉じこめられ、うかばれないままであった・・・
この遺灰を見つけたのが、サガラ王の孫に当るアンシュマットで、
彼は6万人の叔父達が天界に生まれかわれるようにカピラ聖仙に祈った。
すると、カピラ聖仙は、アンシュマットの子孫によって天の河を地上に導き、
その水によって遺灰を浄めれば彼らの霊魂がうかばれるであろう・・・と語った。
アンシュマットは、馬祀祭(アシュヴァメーダー)を済ませたサガラ王の所へ行き、
彼の息子達が掘った大きく深い割れ目にサーガラ(海)という名前をつけた。
このサガラ王の子孫で、アンシュマットの遺志を継いだのがバギーラタ王であった。
先祖の霊魂を天界に導くために厳しい苦行に励んだ結果、
ついにブラフマーからガンガーを地上に降下させてよい・・・との許しを得た。

しかし、ガンガーが地上に降下する際の衝撃があまりにも激しく、
地上が混乱する恐れがあるため、その流れを受け止める者が必要であった。
その役目を果たせるものはシヴァ神しかいないため、
バギーラタは苦行を行いながらシヴァ神に祈った。
シヴァは、この願いをききとどけ、
天界から流れ落ちてくるガンガーをその頭髪で受け止めた。
このためシヴァは、ガンガーダラ(ガンガーを支えるもの)とも呼ばれる。
シヴァが受け止めたガンガーの流れは、
七つの河(サプタ・シンダヴァ)となって流れた・・・